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胸像シリーズ
1830年に成立したルイ・フィリップ王による立憲君主制「七月王政」の下、政界と司法界にて活躍した主要人物たちを人相学的かつ諷刺的にかたどった胸像群。「議員シリーズ」と呼ばれることも多いが、実際は議員に限らず、大臣や判事の肖像も含まれる。元々は、ドーミエが諷刺画を描く際のモデルとして粘土で造ったものだが、その出来の良さからフィリポンに買取られたのち、1927年に36体がアートディーラーのモーリス・ル・ガレック(Maurice Le Garrec)に渡り、それを原型に1929年以降、テラコッタと石膏で模造され、さらに数度にわたってブロンズ像に鋳造された。当館が所蔵するブロンズ像はさまざまな鋳造年のもので、フルセット36体の内の27体に及ぶ。
なお、各々の胸像に人物名や作品名はなく、未だモデルとなった人物が特定されていないものもある。また、はじめにドーミエが造った塑像の点数も正確にはわかっておらず、おそらく40体程が造られたと考えられており、その内の36体がオルセー美術館に所蔵されている。さらに塑像の正確な制作年も不明で、1832-35年頃だと推定されているが、第二共和政下(1848-52年)の重要人物だと考えられる胸像もあり、今も研究者の間で議論されている。
議院に列席する35名の大臣と議員が描かれており、その大半の人物が特定されている。なかでも前列のペルシル(左から2人目)、スールト(左から5人目)、ダルグー(左から6人目)、2列目のアレル・ペール(左から2人目)、プレ・ド・ラ・ロゼール(右から3人目)、フリュシャール(右から2人目)、ドゥルセール(右端)、3列目のヴァトゥ(左から3人目)、ケラトリ(左から4人目)、ルフェーブル(右から2人目)、4列目のヴィエネ(左から3人目)、パタイユ(右から4人目)は、胸像のモデルになった人物だと考えられている。